いるりを見たら思うこと
「林間学校か」
彼女が俺の家に遊びに来た。くつろいだ様子で言うけど、なんだそれ。面倒くさい。行きたくないなと思った。
まあ随分前から決められていた話であって、生徒である俺に拒否権はない。
いや、あるか。休めばいいだけだ。
そんなことを考えていると、「夜一、楽しみだな」と、俺とは対照的に濱田(ハマダ)いるりは嬉しそうに笑っていた。
「そう?」
「なんだよ。てめー、全然楽しみじゃねーのかよ」
「別に行きたくないし」
「つっまんねー奴。夜一は絵しか興味ねーのかよ。あれだぞ。友達作れ、バカ」
一応、俺の彼女。
ひどい言い草だな、と英文を書き写してた手を止めているりを見た。