HERO

藤居くんがキッチンに入ってきた。

そして、私の腕をつかんで引き寄せる…



じっと私の顔を見て、困った顔をしてる。

「ほら… また大丈夫な振りした。 健ちゃんのことでなんか悩んでるのか?」
「…ちがうちがう。そうじゃなくて…」

藤居くんから顔をそむけて、涙を拭きながら答えた。

「私… 健のこと、旦那に相談したことなかったなぁ…って思ってさ。 おかしいよね、夫婦だし、パパとママなのに。健のことを話すなんて、健のことを考えるなんて、親なら当たり前のことなのに、なんでだかわからないけど旦那には迷惑な話みたいな気がしちゃってて、言い出せなかった。いつも元気で楽しく暮らしてるってことしか言ってない…

おかしいよね、こんなの。」



また、涙が溢れてきた。

藤居くんは、そっと抱きしめてくれた。


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