HERO
「ひとみさんは、あなたのことをいつも想ってました。僕はただの…ひまつぶしですから…」

――――そんなっ


「そんなことないっ!
私は本気で…」

「…そっか。本気だったんだね… 消えるのは俺かな…」
雅史がつぶやく。


ああ…どうしよう…
私が悪いんだから、私が消えたい…


「いいえ、僕は本気じゃなかった。ただ、懐かしかっただけです。
ひとみ、ごめん。


健ちゃん、おわかれだ。
もう会えないけど、健ちゃんは強い男になれるはずだ。これからはママをたすけてあげるのは健ちゃんだから…

それじゃあ…



失礼しました。
本当に申し訳ありませんでした。」




「ちょ…ちょっと待って…!」

「…ひとみ…
こんなことになっちゃって、ごめん…
ほんとに…たのしかった…」


藤居くんは私をじっとみつめながら、ゆっくりとそう言った。

私は、身動きできないでいた…


苦しそうな表情で、くっ…と目をそらしたあと、藤居くんは走り去って行った…










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