HERO
勢い付いた気持ちのまま、できる限りかわいい服を選んで、ちょっと念入りに化粧をした。



「…よし。」


なんとなく、掛け声的なものをかけて、ママモードに気持ちを少し切り替えてから、健を起こしに行く…


と、その時、ケータイが鳴った。


…藤居くんだ!




「もしもし。」

「あ、もしもし、オレ。もう準備できてる?」

「う~ん… まだ健を起こしてないの。」

「…そっかぁ。あと30分くらいでなんとかなる?」

「…え?なんで?」

「迎えに行こうかな、と思ってさ。ほら、またデカイ荷物持って電車でくるんだろ? いっしょに行こうよ。」

―――す… すっごいうれしい…

「いっしょに行こうよ。」だって!



「うん!なんとかする!いっしょに行く!」

「…ふふっ。」

「なに?何笑ってンの?」
「いや、じゃあ、30分後ね。」

「うん!」


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