その背中、抱きしめて 【下】



「でも私も最近バレーしてるゆずを初めて見たけど、男子に混ざってても遜色ないんだもん。びっくりだよ」

「膝と肩が怖くて、本気ではバレーできないんだ。短時間だから出来てるだけで。けど、男子とやってると楽しいよ。サーブもスパイクも女子より全然速いからワクワクしちゃう」


速さに加えて高さと角度のあるサーブとスパイク。

あれをレシーブした時の快感ったらない。


「男子のあの速さを怖いと思わないでワクワクするってところがゆずらしいね。普通怖くなっちゃうよ。毎日見てるから目が慣れてるのかな」

あー…そうかもしれないなぁ。

目の前で高遠くんの速いスパイク見てると、凄すぎてワクワクしちゃうんだよね。

あぁいう風に打ってみたいなぁって憧れる。


「それにしても高遠くんとゆずが打ち合いしてるの見てると、サイズ違いの同一人物が打ってるんじゃないかと思うよ。ほーんと手を上げる角度とか手を引く角度とか着地とかまるで一緒なんだもん」

さくらちゃんがケラケラ笑う。

そして


「こういうのを相思相愛っていうんだね」


一瞬、真顔になったさくらちゃんが優しくふわっと笑った。




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