その背中、抱きしめて 【下】
桜井くんに後ろから両肩に手を置かれ、そのまま押される。
だんだん高遠くんに近づく。
心臓が耳元でどんどん音を立てる。
自分の心臓の音しか聞こえない。
高遠くんの目の前で、私を後ろから押す手が離れた。
「ゆず先輩も翔先輩も1週間お疲れ様でした。特にゆず先輩は精神的にギリギリでしたよね」
相川くんが、私を心配そうに覗き込んだ。
「ゆず先輩かわいそすぎて、俺どんだけ本当のこと言っちゃおうと思ったか…」
桜井くんも心配そうな顔をする。
「けど、言っちゃったら翔先輩に殺されるからさー」
桜井くんが葛藤してるのか頭を両手でぐしゃぐしゃ掻きむしった。
なんなの?
何の話?
本当のことって何?
私だけが知らない何かがあるの?
偽物の話ってどれ?
「詳しくは翔先輩から聞いてください」
相川くんがニッコリ笑った。