冷徹社長が溺愛キス!?

◇◇◇

それからしばらくしてパートから帰って来たお母さんは、私に「おかえり」とにっこり言うと、買い物袋を引っ提げてキッチンへと入った。
スーパー勤務だから、ゴールデンウィークも関係ないのだ。

夕飯の準備を手伝おうと、私もあとに続く。
今夜は私の大好物のシーフードカレーらしく、魚介類がシンクに並べられた。


「仕事はどうなの?」


エビの殻を剥きながらお母さんが訊ねる。


「今ね、新しい仕事を引き継いでいて、ちょっと大変かな」

「そうなの? あんまり嫌だったら、専業主婦っていう道もあるのよ、なっちゃん」

「もう、どうしてそうなるの」


つい唇が尖る。

普通、母親なら『頑張りなさいよ』って元気づけてくれるものじゃないだろうか。
まったくもう。

さっそく始まった園田さんからの引き継ぎは、私には想像以上に大変で、ミスがあったら大変なことになると思うと、勤務時間中はずっと緊張。
六月に行われる、株主総会に向けての準備に追われているところだった。

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