冷徹社長が溺愛キス!?

お母さんは何でもないことのように言うけど、それはちょっとただごとではない。
コソコソ嗅ぎまわられるなんて……。


「そんな不安な顔をしなくても大丈夫よ。調べられたって、なっちゃんに何もやましいことはないでしょう?」

「それはないけど……」


カメラでこっそり隠し撮りをされるかもしれないことを思えば、不安を覚えないほうがおかしい。


「それとも、この前の電話のあとに彼氏ができたの?」

「まさか!」


そんな早業、私には到底無理だ。
一瞬、速水社長の顔が過ったのはどうしてだろう。
それを振り払い、お母さんに大きく手を振る。


「それじゃ、ほかに誰か好きな人でもいるの?」

「えっ……」


またもや浮かんだ、社長の顔。
お母さんの質問に、なぜかギクリとまでする。
ないないないない! それは絶対にない!
ぶんぶん頭を横に振る。


「ちょっと、おねえちゃん、何事?」

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