冷徹社長が溺愛キス!?

「もう少し休んでろ。どこか痛いところはないか?」


痛いところ……?

――そうだった。
私、株主総会で社長に襲い掛かった女性に……。

戻った記憶を頼りにお腹に手で触れる。

……あれ?


「刺されてないぞ」

「……え? でも確か……」


あのとき、彼女の手にはナイフのようなものが握られていて、私は咄嗟に社長をかばって刺されたと……。
でも、そう言われれば、刺されたはずのお腹には包帯らしきものが巻かれていない。
痛くも痒くもない。


「あれはオモチャだ」

「……オモチャ、ですか?」


聞き返すと、子供のオモチャでよくある、刃先が引っ込んだり飛び出したりするやつだと社長が説明してくれた。


「それじゃ、どうして私……」


気を失ったりしたんだろうか。
社長はクククと笑い出した。

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