冷徹社長が溺愛キス!?

「刺されたと思い込んで、ショック状態に陥ったんだろう」


そんな……。それじゃ、正真正銘の間抜けだよ……。

社長はまだ笑っている。
穴があったら入りたいとは、このことだ。
被害妄想も甚だしい。
でも、そこまで笑わなくてもいいのに。


「笑いごとじゃないと思います」

「そうだな。悪かった」


珍しく社長が素直に謝るものだから、肩透かしを食らったようになる。
私の言葉に反発して、もっと笑い飛ばされるとばかり思っていた。


「でも、いいか? 二度とあんな真似はするな」


彼が急に表情を引き締める。
怯んでしまうほどに厳しい眼差しだった。


「あれが本物だったら、どうなっていたと思う」


あれが本物だったら……。
社長に言われて、あのシーンを回想する。

彼女の持っていた刃物が、私のお腹をひと突き。
もしも刺しどころが悪かったら……。
血が止まらなかったら……。

< 207 / 272 >

この作品をシェア

pagetop