アメトムチ。
この人は知っている。
あの時のホテル騒動を、私は誰にも言ってないって。
・・・そりゃあ、私にとってあの出来事は、誰にも知られたくない恥ずかしい人生の汚点だし。
仲良しのより子には、なおさら言えない・・・ってことも、この人は分かってるんだ!

本物の悪魔っ!!

それともこれは、「仕事を辞めなさい」という神様のお告げなの?
一体私の何がいけないのよ!
「ロマンチックな恋をしたい」とか「素敵な彼がほしい」とか・・そんなささやかなことすら願っちゃいけないの?
私にとっては大それ過ぎてる願いなのかな・・・。

「・・・ぅ」
「ん?何」
「これいじょぅ、わたしを・・・いじめないでくださいっ!」
「あっ!おい待て!ちーちゃん!」

やだなぁもう。30の独身・彼氏すらいない女が、公衆の面前で・・しかも社長の息子相手にヒステリックになっちゃって。
こんな風に我慢できなくなって、場所をわきまえず、相手に感情を爆発させてのは初めてだ。
私ったらなんてことを・・・。

せめて誰にも涙、見られなくて・・・よかった。

< 33 / 78 >

この作品をシェア

pagetop