アメトムチ。
「だから、強いて挙げれば、それが理由かなと思うんです」
「平凡で平均的なこと?」
「う・・・えぇ、はぃ。だから、私の存在って、群衆に紛れちゃって目立たないのかなって。私だって素敵な彼氏ほしいし、一生に一度でいいから、ロマンチックな恋愛をしたいですよ。だったら、今の状況を変えなきゃ、変化は起こらないって。出会いを求めて外に出てみなよって、仲良くしてる同期からも言われたし、私もその通りだなって思ったから・・先月くらいから、チョコチョコ出歩いてみて、それで・・・」
「俺を見つけた、と」
「そっ、そうですっ。でも声かけたのは、あなたが初めてですよっ!」
「ふーん。ま、キミの悩みは大体分かった。つまり、キミは俺とつき合いたい・・・」
「違う違う!違いますっ!」
「え?じゃ何で俺とエッチしたいわけ?だから俺をホテルに誘ったんだろ?」
「えっ、と・・そ、そうじゃなくって・・」
「まさか、俺とセフレな関係になりたいとか」
「そんなっ!大胆なこと、私にはできないですよぅ!それこそ私のキャラじゃないですって!」

半泣き状態で、両手をバタバタ左右にふりながら必死に否定する私に、腕を組んだ彼は、眉間にしわをよせながら、じっと見ていた。

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