いつかそんな日がくればいい。【短】
下心はない…とは言い切れない。
だけど、危なっかしくて見ていられないのも本当で…。
差し出した俺の手に、ゆっくりと自分の手を重ねる白田さん。
その体温が、さっきから煩いくらい鳴り響いてる俺の心音に拍車をかける。
あー…
きっとこの祭りのムードのせいだ。
この薄暗くて、屋台と提灯の灯りだけが作り出す、仄かに赤みを帯びた空気。
この空気が、俺を惑わせているんだ。
俺は今、どんな顔で彼女を見ているんだろう?
こんな気持ち、初めてだから分からない。
だけどきっと…変な顔をしてる。
「〜〜〜っ!」
–––––––ギュウッ
「…いっ!?!?」
何が起きたって?
説明しよう。
俺は今、繋いだ方とは反対の手で、白田さんに思い切り手の甲をつねられている。
「…っな!何すんの白田さんっ!」
俺の手から彼女の体温が、スルリと離れていく。
競歩でズンズン前を行く白田さん。
一体何なんだ。
この人は、本当に読めない。
つねられた手を摩りながらそう思っていると、俺はある事に気が付いた。