いつかそんな日がくればいい。【短】


少しだけ震えているように見える、彼女の肩。


緩く束ねられた柔らかそうな髪と少し残された横髪の間から覗く真っ赤な耳。


「白田さん!」


思わず駆け寄って彼女の腕を取り、振り向かせると……


「……っ、手なんか、繋ぐわけないじゃないっ!」


案の定、顔まで真っ赤で……。



あー。


やられた。


完璧やられた。



そのまま俺から顔を逸らす彼女。



間違いない。




–––俺は、彼女に恋をしたのかもしれない。





どれくらい、そうしていただろう?


まだ、仄かに赤い彼女の頬を見詰めながら、俺は次に発する言葉に迷っていた。





「あれー?水樹と松田君??」


その声にはっとして、呼びかけられた方を振り返ると、そこには浴衣に身を包んだ女子が二人、興味深々といった顔でこちらを見ていた。


なんとなく、見たことのある顔だ。


恐らく、同じ学年の女子だろう。


「水樹、何で松田君と居るの??黒崎君と回るはずじゃなかった?」


その言葉に、俺ははっとして白田さんを見る。


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