いつかそんな日がくればいい。【短】
そう思うと、お祭りを一緒に回ろう、と引き止めてしまった自分にすら腹が立ってくる。
俺が引き止めたりしなければ、白田さんはこんな事実を知らなくて済んだかもしれないのに…。
あの時、白田さんの言う通り帰っていれば…。
「白田さ…」
そう名前を呼ぼうとした瞬間、
白田さんの持っていたベビーカステラの袋が彼女の手から滑り落ちる。
散らばるベビーカステラ。
驚く女子二人の間を、白田さんは割って駆け抜けて行ってしまった。
追いかけなきゃ!
そう思う前に既に身体は動いていて、
俺は彼女の背中を見失わぬよう、人混みを掻き分けながら、
必死で彼女を追い駆けた。