そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
魚の御造り、旬の野菜、
旬の魚の串焼き、銀だらのみぞれ煮、
てんぷら……
確かに、一皿ずつ、テーブルに並べられていくと、思わず口元が緩んで、幸せな気分になる。
「温かいうちに、食べなさい」
メガネに指を当てて、位置を直す仕草をしながら言う。
「はい」
課長は、自然と肩の力を抜いてまっすぐな姿勢でゆったりと食事をしてる。
すっと箸を動かして、口元までもっていく所作がとてもきれいで、真似をしたいと思った。
おいしい料理をいただき、お腹も落ち着いてきた。私は、意を決した。
「あの……課長」
「ん?」
「お願いがあります」
「お願い?何だい」
私は、課長が腕時計を見るために、チラッと下を向いた時に言った。
その方が、顔を見られなくて済むからだ。
「私とお付き合いしていることにしていただけませんか?」