健康診断の甘い罠

「しっかり温まった?確かめるから、こっちおいで」


そう言われて和弥くんの隣に座ると和弥くんが手と頬に触れる。


「ん、温まったね。頬もピンクになったし」


そう言って手の甲で頬を撫でられてちょっと恥ずかしくなる。


「大丈夫?落ち着いてきた?」


顔を覗きこまれてそう聞かれ私は頷いた。


「和弥くんが来てくれたし、一緒にいてくれてるから。ありがとう」


そう言って微笑んだ私を見て、真顔になった和弥くんは視線をそらした。


それからまた私を見て、私に手を伸ばす。


和弥くんの腕が私の背中と腰に回って引き寄せられる。


目の前には、和弥くんの胸。優しく私を包み込む、和弥くんの腕。


抱きしめられてると理解するまで、数秒かかって。理解した途端に心臓の音が速くなる。


だけど、私の耳に聞こえてくる和弥くんの心臓の音も私と同じように速くて。


和弥くんも同じなんだと思うと少しだけ嬉しくなってホッとする。


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