健康診断の甘い罠

そうだ、明日も会うんだな。そう思うとまた緊張してきて心臓がドキドキしてくる。


『おやすみ、千紗。……好きだよ』


不意打ちのその言葉に驚いて私はまた携帯を落としてしまう。


ゴトンッと鈍い音をたてて床に落ちた携帯を拾って慌てて耳に当てる。


「わ、あ、ご、ごめん」


『……耳、痛っ。ビックリした』


ビックリしたのは私だ。そんなこと不意打ちで言うなんて反則だと思う。和弥くん、笑ってるし。


『別にからかってるわけじゃないんだけど。俺は好きだよ、千紗のこと。じゃ、ほんとに切るね。おやすみ』


「お、おやすみ……なさい」


そう言って電話を切って私は胸を押さえる。すごい、ドキドキいってる。


こんなの初めてだ。


初めての電話のせいなのか、好きって言われたからなのか、明日のデートのせいなのかもう訳がわからなくなってくる。


多分、全部だけど。やっぱり和弥くんは油断ならない人だ。


「お風呂入って、寝よう」


まだドキドキいってる胸を押さえつつ、私はお風呂の準備を始めた。


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