健康診断の甘い罠

「なんで正座してたの?」


笑いながらそう聞かれるけど、よく分からない。緊張してたから精神を落ち着けようとしてたのかな。


「うーん、分かんない」


そう答えると和弥くんはまた身体を震わせて笑ってる。


笑いすぎて涙の浮かんだ目で私を見て、和弥くんは自分の頬を撫でる。


「あー、顔と腹が痛い。女の子は支度が大変だからって思ったのに、足が痺れてって。本当に面白いんだけど」


しばらく笑っていた和弥くんが顔を覆って目に浮かんだ涙を拭ってる。


「はあー、面白くてかわいい。ここ二日で一年分笑った気がするわ。顔、筋肉痛になりそう」


そう言って和弥くんがじっと私を見て目を細める。


「褒めるタイミング逃しちゃったじゃん。千紗、かわいいよ。似合ってるね」


それが今日着ている服のことだと気付いて、ちょっと恥ずかしくなる。


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