じれったい
「本当に母への依存が絶ち切れたのかどうかはわからないんですけど、これで前を向いて歩くことができるんじゃないかと私はそう思っています」

そう言った私に、
「絶つことができたと僕は思いますよ。

今の君はとても生き生きとしていますから、本当に母への依存から卒業できたと僕は思っています」

玉置常務が言った。

「本当ですか?」

「ええ、もちろんです」

そう言った後、玉置常務は私の頬に手を当てた。

彼が私の目の前にきていたことに初めて気づいた。

「僕にさわられて、怖いと思わなかったでしょ?」

「――ッ…」

玉置常務の言う通りだった。

この前は彼に頬を触れられて戸惑ったのに、今日は触れられても戸惑いを感じなかった。
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