じれったい
「何か飲み物が必要なようでしたらすぐに…」

「いえ、本当にいいんです…」

今にもこの場から離れて行きそうな玉置常務に、私は首を横に振って断った。

「そうですか、でも何か必要なものがありましたら言ってくださいね」

「はい」

玉置常務が私の隣に腰を下ろした。

たったそれだけのことなのに、私の心臓はドキッ…と鳴った。

どうしよう、隣にいる玉置常務の顔を見ることができないよ…。

今日は頬に触れられただけじゃなくて、唇にキスをされてしまった。

しかも、ファーストキスなんだけど…。

初めての状況に私はどうすればいいのかわからなかった。

玉置常務はどんな気持ちで私とキスをしたのか、何よりどうしてしようと思ったのだろう?
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