じれったい
私、落ち着いてる。

落ち着いてちゃんと仕事ができている。

そのことにホッと胸をなで下ろしたのと同時に、とてつもない寂しさが襲ってきた。

これがいつも通りなんだから、どうして寂しいと思ってしまうのだろう?

「矢萩さん、どうかしましたか?」

玉置常務に声をかけられたので、
「い、いえ…」

私は首を横に振った。

いつも通りが寂しいと言ったら、玉置常務はどう対応をしてくれるのだろうか?

「今日は特に予定はありませんから、秘書課で仕事をしていてください。

何かあったらお呼びします」

そう言った玉置常務に、
「はい、失礼しました」

私は寂しさを感じながら、常務室を後にした。
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