じれったい
 * * *

「莉亜ちゃんは悪い子じゃないんだけど、もう2度と家に遊びに行きたくない」

「あの子のお母さん、すっごい厳しい人なんだよねえ。

あまりにも居心地が悪いから、家に入った瞬間に早く帰りたいってすぐ思った」

あれは確か…小学校に入学したばかりの頃だっただろうか?

初めて友達を自分の家に連れてきた翌日の放課後の教室で、私は友達だと思っていた彼女たちの会話を聞いてしまった。

「莉亜ちゃんって、お父さんがいないんだっけ?

あたしのお母さんが話してたよ、莉亜ちゃんのお父さんはお母さんが大嫌いだから逃げられたって」

「えーっ、そうなのー?」

私が物心ついた時には、父はいなかった。

父がいないことが当たり前だと、私はそう思っていた。

母が福祉関係の仕事をしていたと言うこともあり、お金には困らなかった。

マンションじゃなくて一軒家に住んでいたから一般…あるいは、それ以上の生活をしていたと私は記憶している。
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