國比呂少年怪異譚
回避方法無しと言われた。

神主さんには『でも基本的に自分はあまり信じてないんです。私には見えませんから』と言ったところ、『そういう強い気持ちも大事ですよ』とか。

「何で私なんでしょう?」

「人と同じですよ。好みなんです。昔から、神様に愛されると長生きできないと言いますね。あれと一緒ですよ」

いや、そんな若くも無いですしと言ったら、『寿命からしたら充分若いですよ』と。

実家のお稲荷様と、近所の将門神社には毎日詣でている。

でも、最近、右肩が重い事に気がついた。

そして、元々夢などあまり見ないのに、夢を見るようになった。

どこかの屋敷で、ピアノをずっと弾き続けている夢。

動かない左手が動くのは気分がいい、ずっとここにいたいと思う。

『ずっといてもいいんだよ』と、背後から右肩に手を置かれ、目が覚める。

いつかこのまま、目を覚まさなくなるのだろうか。











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