恋色シンフォニー 〜第2楽章〜
私が黙っていると、圭太郎は次々とメリットを挙げ始めた。

「一緒に住めば、家事分担できるよ」

まあ、確かに。

「毎日ビジネスモードじゃなくプライベートとして顔を合わせて“おはよう”が言えるし、毎日一緒に眠れるし、したい時にできるし」

……最後のは圭太郎のメリットじゃない?

「僕のヴァイオリン毎日聴けるよ?」

……殺し文句を繰り出してきた。

これは本気だな。

まあ、いいけど。
心は決まってるから、早まるだけだし。


とはいえ。

こう、いつもいつも逃げ道塞がれて、道はひとつ、みたいなことされると、反発したくもなってくるのよね。


「……どうしようかなぁ」
うつむき、ポツリと呟いてみる。

「……何か、お望みの曲を弾きます」

圭太郎の言葉に、心の中でウフフと笑う私は、腹黒さが似てきたでしょうか。

「ほんと? 何でも?」

「モノによってはお時間いただきますが」

では、ありがたく、スペシャルクラスの難曲を弾いてもらおうじゃないの。
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