恋色シンフォニー 〜第2楽章〜
11.挨拶Ⅱ

日曜朝。
ただいま、芽衣がはまっているという、女の子が戦うアニメ放映観賞中。

CGが使われてたりして画像がキレイだし、ストーリーも深いし、今時のアニメってすごいのね。
主題歌も変拍子やら転調やら半音階やらで、難しいし。とてもじゃないけどカラオケで歌えない。


『私達は、決してあきらめない!』

一生懸命戦う女子中学生達に、お姉さん、思わずもらい泣き。

ティッシュを取ると、隣にいた圭太郎がギョッとした。

「うそ……これで泣ける……?」

「うるさい。男には分かんないの」

「はいはい。綾乃は泣き虫だもんね」


そして、芽衣のリクエスト曲が王子様とお姫様によって奏でられる。


……をを。やばい。

ヴァイオリン王子、萌える‼︎

頬が緩んでしまうわ。

「いたっ」
ニヤけていると、緩んだ頬を軽くつねられた。

圭太郎を見ると、面白くなさそうに、

「綾乃にそんな顔させていいのは僕だけ」

なんて言う。

「2次元相手にヤキモチ?」

からかったら、キスで唇を塞がれた。

朝の情熱の残り火がくすぶっていたところにこんなキスをされて、あやうく燃え出しそうになる。

「こ、ら……だめ……っ!」

全力で抵抗し、慌ててソファの端に飛び退いた。

「何で?」

「今日はこれから親が来るんだから! もう毎日一緒でいくらでもできるんだから、今は我慢して!」

圭太郎は目をパチクリとさせ、それから、微笑んだ。

「……何だか、いいね」

「はい?」

「毎日一緒って、すごくいい」

圭太郎の瞳が潤んでる。

もう。

「泣き虫なのはお互いさまだね」

頭をよしよししてあげた。


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