四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~
そんな訳で、と一言呟いて。

男は瞬時に襲い掛かってきました。

目の前に残像が残るほどの高速!

私は…。

「!?」

男の初撃を紙一重で回避しました。

事前に『強化』の魔術を行使して、身体能力を高めておいてよかったです。

魔女とはいえ、肉体的には普通の人間と然程変わらない。

戦闘になったら何はさておき『強化』と『障壁』は忘れるな。

これもメグさんの教えでしたよね。

でも。

「…っ」

驚きました。

男は私の障壁を簡単に突破したんです。

その証拠に、彼の爪に私の背中まで届く長い髪の毛が数本、絡んでいました。

「ふぅん」

爪に絡んだその髪を口の中に含みながら、男は呟きます。

「強化は満点の出来だが…障壁の方はイマイチだな。もう少し堅牢な障壁の方がいいぜ?」

そう言って彼は、低い姿勢で構えました。

「でないと俺の牙と爪は防げないからな」

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