四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~
もう一度。

男は私の目では捉えきれないほどの高速で襲い掛かってきました。

今度は紙一重でもかわせません。

敵の忠告を受けるのは癪でしたけど、八つ裂きにされるよりはマシです。

私は障壁に注ぎ込む魔力をより多くして、男の爪を受け止めました。

「はっはあ!」

攻撃を受け止められたにもかかわらず、男が笑います。

「いいぜお嬢ちゃん!なかなか楽しませてくれるじゃねえか!」

「っ…!」

勿論私の方は、そんなつもりはありません。

攻撃を防ぐので精一杯です。

「こんだけの障壁に強化の魔術…お嬢ちゃんさては並みの魔術師じゃねえな?」

一旦私との距離を置いて、男は首をゴキゴキと鳴らします。

「俺と同じ魔物の類…しかも魔術に特化した…魔女か」

「……」

簡単に素性を看破されてしまいました。

この男、粗暴なだけかと思ったら洞察力にも優れているようです。

「成程。こりゃ運がいい。魔女を食らえば、俺の魔力も格段に跳ね上がるかもな」

低く笑いながら、男は舌なめずりをします。

…私の事を、完全に食糧としてしか見ていないのです。

温厚な私でも、流石に怒りを覚えました。

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