四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~
私の問いかけに、ジルコーは答えます。

「昨日お嬢ちゃんから聞いた時から気になってはいたんだが…確証に変わったぜ」

「だから、何がですか?」

「犯人の正体だよ」

勝ち誇ったようにジルコーは笑いました。

「最初、お嬢ちゃんの話を聞いた時に考えたんだ。犯人は何で食い残しをほったらかしにしていなくなっちまうのか…二通り考えられた」

「二通り?」

ジルコーが言うには、ひとつは自己顕示欲を満たす為。

己の行為を周囲に知らしめ、恐れられる事で快感を得るタイプがこういう行動を見せます。

そしてもうひとつは、単純に品性がない。

知能が低いといってもいいでしょう。

物証を残す事で犯人に辿り着く手がかりになる。

そういう事を一切考えていない、本能での行動の結果。

腹を満たしてしまったので食べ残した。

それが結果に繋がった。

「一度や二度なら自己顕示欲って事も考えられるが、現場には毎回食い残しがある。学習能力のない馬鹿のやる事としか思えねぇ」

となると、犯人は知能の低い、本能で行動するタイプの魔物という事になります。

「ついでに言えば獲物を丸呑みできないような、大きくても人間程度のサイズの魔物だな。これだけ絞り込めば、ある程度は犯人の予測がつくだろう」

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