四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~
私は現在、御影市の郊外にある安アパートで一人暮らしをしています。

私も魔女の端くれ、本来ならばメグさんみたいに結界付きの屋敷でも構えてみたいところですが、何せまだ満足に広域結界も張れない身です。

それに人間社会に溶け込む以上、人並みの生活をしていなければなりません。

そもそも表向きは、私はただの女子大生です。

あまり分不相応な暮らしをしていては怪しまれてしまうんです。

…それはともかく。

メグさんはご存知でしょうか?

最近この近辺で、猟奇殺人事件が続いていたんです。

人間の手や足が、引きちぎられた状態で発見されているらしくて。

警察が調査したところ、いわゆる死体遺棄の為にバラバラにした訳ではなく…むしろ『食べ残し』のような形で残されているみたいなんです。

動物園から猛獣が逃げ出して人間を襲ったとか、または近郊の山林から熊のような大型肉食動物が降りてきたとか。

警察の見解ではそういう形で落ち着いていたみたいなんですけど。

…私は違うと思ったんです。

何故なら、事件現場に残る『獣臭』が、普通の動物のものと違っていたから。

メグさんが昔、『魔道の残り香』の嗅ぎ分け方、教えてくれましたよね。

それが役に立ちました。

事件現場に残っているのは、ただの獣の匂いじゃなかったんです。

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