翼をください
それからどれくらいその場所に突っ立っていたのだろう。
去っていく翼を見て、追いかけることも、声をかけることもできなかった。
……違う。
足は動かないし、声も出なかったんだ。
言葉にできない想い。
それを告げたら翼はまた苦しむのだろう。
時を止められた私は、何もできない。
「柚!?」
突然、私の名前を呼ぶ声がした。
振り向けない。
けど、振り向かなくても分かる。
「ねぇ、柚、どうしたの!?」
「翼は!?」
涙が溢れた。
そんな私を、唯はギュッと抱き締めてくれた。