青い傘
 幼い頃、いちばん仲のいい友達は男の子だった。
 近所に住む弥生(やよい)くん。
 女の子のような名前だけど、やんちゃな元気者だった。

 小学校の高学年から中学にかけて、だんだんと疎遠になり、遊ぶこともなくなった。
 男の子の遊びは好きだけど、さすがにサッカーや野球に付き合うのは無理。話題も違っていた。
 それに、彼はスポーツ推薦で私立の高校に進学することになり、進路も別々になった。

『お前って、女子高に行くの?』
 いつだったか、その弥生くんが進路のことを訊いてきた。
 久しぶりに話しかけられたせいか、緊張したのを覚えている。
『う、うん。そうだけど』
 ぎこちなく返事をすると、ふーんと言って彼は立ち去った。

 女子高を選んだのは成績の関係というだけで、特に拘ったわけではない。
 あの子は、どうしてあんなことを訊いたのかな。

 あれこれ考えるうちに、関係ない記憶まで手繰り寄せてしまった。
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