本当の遠距離恋愛 1

 普段どおり仕事で病棟を駈けずりまわっていた。

 陣痛が10分間隔になった患者が入院してきたのだ。

 今日は産まれる人が多いだろう・・
  5人が陣痛で苦しんでいる。

 母子手帳を受け取りカルテを見る。

 保険証に「神奈川レディースクリニック」と記されていた。

 (看護師さんか、助産師さんか・・・)

 患者さんが看護師をしてると一般の患者より少し緊張する。

 まだ、若ければいいが自分より上となると経験も多くつんでいる。

 劣っている自分をさらけ出すのが悔しい。

 でも、いくら他の病院で看護師をしてるからとはいえ、
  ここの病院では患者だ。

 看護師の知識や権力をひけらかすのはマナー違反だ。

 事実、紗希も他の病院にかかる時は保険証をみればわかって
  しまうが、「知らぬ存ぜぬ」で通している。

 でもマナー違反をする看護師は結構いる。

 いちいち難癖をつけてくるのだ。

 やりにくいったらありゃしない。

 
   さて・・この人は・・・

 患者の名前は「高田信子」
    年齢は「40歳」「初産」
    職業は「助産師」

 
 ビンゴ!!

 ひそかに医療事務だったら・・・なんて考えていたが・・・


 神奈川にお嫁に行き、実家のある東京で出産予定らしい。


 紗希は気合をいれ「高田信子」の病室へ向かう。

 「失礼します」

 ドアを開けるとなんとまあ!怖そうなおばちゃんの顔。

 陣痛で顔が歪んでいるせいだろう・・


 検温や血圧測定などをする。

 脈拍をとり、カルテに記入してると、

 「看護師さん、熱あるんじゃない?」

 「えっ?そうですか?」

 
 思いがけない患者の一言。

 
 
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