本当の遠距離恋愛 1

 「いや、ちょっと忙しくて走りまわっていたからだと思います」

 「そうかな?」

 
 紗希は部屋を出るとナースステーションに戻り体温計を脇にはさんだ。


 そういえば、ここ1ヶ月ほど調子が悪い。

 風邪だと思い薬を飲んでいるがなかなか本調子とはいかない。

 しかし、遠藤がいるせいか「ダルイ」とは思わなかった。

 
 ピピピピピピピ

 体温計をみると 「37.8℃」とデジタル表示されている。

 (まさか!)

 
 プルプルプルプルプル

 ナースコールがけたたましく鳴り響く

 慌てて病室へと走る。

  
 もうすっかり自分の熱のことは忘れ去ってしまった。

 
 夜中3時

 助産師の高田さんがいよいよ分娩室へ入る。


 

 朝方5時。

 無事に女の子を出産された。

 さすがベテラン助産師だけあり、騒ぐ事もなければ、わめく事もなかった。
 いきみ方も上手い。

 
 高田さんはマナーもきちんとしていた。

 一度も医療用語をだすことはなくすべてこちらの指示に
  従ってくれた。


 入院してきた時は怖そうな感じではあったが今はよく見ると
  優しい顔をしている。

 
 
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