双姫 IV 番外編


私が蒼空のお墓を建てて貰った場所は、
奈緒珠さんと三人で遊んだ草原。


「朱音…。」


ポツンと建つ墓石から目が離せない。

その様子を母さん達は心配そうに見ている。


『少し……二人にさせて。』


「…あぁ。」


足音が遠ざかるのが分かって、
カサブランカを花瓶に生ける。


『蒼空……ねぇ、蒼空。』


嘘だよね?
こんな石の中に入ってるなんて。

どうせいつもみたいに「なんちゃって!」って
私を驚かすんでしょ……??


『ねぇ…「冗談」って言ってよッ!!』


蒼空が居ないと、
私の目には世界が色褪せて見える。

見えるのは、蒼い空の色だけ。


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