あなたの願いを叶えましょう
疲れて重い足を引きづりながらエレベーターに乗り込む。

腕時計を見ると、すでに九時を回っていた。

今日は最悪だった。もうクタクタだ。一気に老けこんだ気がする。

扉がゆっくり閉じていくと人影がさしたので、私は慌てて開くのボタンを押す。

「ありがとうございます」

乗ってきたのはまさかの黒澤波瑠だった。

「なんだ。冨樫か」

私だとわかった途端、王子の仮面を脱ぎ捨てる。

「なんだとは何よ」

力なく言い返す。

嘘をついていたことをとっちめてやる、と息を巻いていたものの、今や疲労困憊でそんなこと出来る気がしない。

ぐったりしている私を、黒澤波瑠はでっかい目でジッと見つめてくる。

なんだか妙に居心地が悪い。

扉が閉まるとエレベーターはゆっくり下降していく。
< 112 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop