あなたの願いを叶えましょう
カツ丼を頬張り、リスのようにふくらんだ頬で、キッと黒澤波留の方へと向き直す。

「だったらそう言えばいいじゃない。どうして嘘ついたりしたの?」

「嘘なんてついてないよ。冨樫が勝手に誤解してただけだろ」

黒澤波留は飄々と言ってのけ、カルビを豪快に食べる。

「だったらそう言ってくれたらいいのに。なんで誤解を解こうとしないのよ」

「どのみち面倒くさいから」

彼は嫌そうに鼻の頭に皺をよせた。

「俺たちが親族だって会社にバレたら、きっとどっちかが異動させられちゃうからねー」

我が社では社内恋愛で結ばれたカップルが同じグループに所属していた場合、周囲の人が気を使って仕事がやり辛くなるという理由から、どちらか一方が移動を余儀なくされる。

そしてそれは大抵の場合が女性だけど。

親族関係も恐らく殆ど同じ待遇になることは容易に想像がつく。

「でも、結婚式とかでバレちゃうんじゃない?」

「そうならないよう、内輪だけ呼んでハワイで挙式した」

今流行りのリゾートウェディングってヤツだ。



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