あなたの願いを叶えましょう
「連絡していただいたら取りにきましたよー」

私はヒョイっと片手で紙の束を受け取る。

「うん、でも、うちがお願いする事だからさ」

そう言って梁川さんは申し訳なさそうに長い睫毛を伏せた。

御歳33らしいが、童顔なので私よりも年下に見える。

フワフワ儚げな外見とは裏腹にゴリゴリの総合職で黒澤氏の先輩に当たる。

それなのにお使いに寄越すとはな。

きっと自分が来ればご機嫌斜めな私に絡まれると思ったのだろう。

「チョコっと説明するね」

梁川さんが焦げ茶の柔らかそうなボブヘアをかき上げると可愛らしい小さな耳が覗く。

その左手薬指にはキラリとシルバーのリングが光る。

いいなあ、仕事も出来て可愛くて結婚出来て。

天は二物を与えず、というけど、三物くらい梁川さんは与えられてる気がする。

私には一つもないけど。
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