あなたの願いを叶えましょう
反射的に身体が動いてしまって、その結果助けただけなのに、そこまで感謝されると畏れ多い。

と、いうか、ナオシさんと食事に行くのは気が進まない。グイグイくるあの感じが苦手だ。

「この羊羹をもらっただけでも申し訳ないのに、そんな気を使わないでください。梁川さんに怪我がなければ私はそれで充分なので」

しかし、本音を言うと角が立つので、やんわり交わす。

「体調は大丈夫ですか?」

そしてすかさず話題をそらす。大人の会話基本テクだ。

「貧血が酷かったんだけど、週末休んだら大分良くなったよ」

梁川さんはいつもと変わらずテンション高めだが、やはり顔色が冴えないように見える

「あまり無理しないでくださね。黒澤さんも心配していましたよ」

そーなんだよー、と言って、梁川さんは大きくため息をつく。

「無理し過ぎだって怒られちゃった」

羊羹に群がっていた野口さんとえりかちんがちらりと視線を向けたことが気配だけで伝わってくる。

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