聖獣王と千年の恋を
ふたりで顔を見合わせて笑っているところへ、先に入っていったワンリーとジャオダンが奥からチェンヂュを伴ってやってきた。チェンヂュがリンユーに声をかける。
「リンユー、ワンリーさんたちは今からテンセイに向かうそうだ」
「え? 今すぐ? そうなの? メイファン」
思い切り目を見開いて驚いたように尋ねるリンユーにメイファンは苦笑しながら頷いた。
「うん。急でごめんね」
「そっかぁ。そういえば、汚名を晴らさなきゃならないんだったっけ」
「うん」
そういえば、そういう話になっていた。リンユーは残念そうにしながらも笑顔でメイファンの手を握る。
「じゃあ落ち着いたら今度は堂々と遊びに来てね。絶対よ」
「うん」
笑顔で頷いたものの、たぶんもう二度とここに来ることはない。果たせない約束が心苦しくて、リンユーの笑顔が眩しくて、メイファンはうつむいた。
今にも泣きそうになっているメイファンの肩を軽く叩いてワンリーが促す。
「メイファン、そろそろ行こう。チェンヂュさん、リンユーさん、色々ありがとう」
「お世話になりました」
メイファンは涙をこらえてワンリーと一緒に頭を下げると、ジャオダンと三人一緒に鍛冶屋をあとにした。