お嬢様 × 御曹司
お兄さんの武蔵さんとは違った素朴な彼は、自分を主張することなく私の前を後にした。


取り巻きを連れて歩いているような武蔵さんの弟っていうから、「どれだけチャラい奴が来るの⁈」って思ってたんだけど。


彼に会った時、全然雰囲気が違くて驚いた。


それに、初めましてだったからもちろん自己紹介もしあったけど…


「私、日野原財閥の次女、聖夜(せいや)とかいて聖夜です。今日で13歳です。」
「私は、大道寺財閥の次男、武士と書いて武士(タケシ)です。13歳。生まれは4月です。恩着せがましいかもしれませんが、今後とも、大道寺財閥をよろしくお願い申し上げます。」


という大人のような社交辞令で終わってしまった。


武蔵さんなんかはじめにあった時、「やあ、ごきげんようお姫様。今日もいい天気だね。失礼、私は大道寺武蔵。顔と名前が一致していないのは言うまでもないだろう?よろしくお願いしますね、聖夜お嬢様。」なんて言って私の手をとって膝をつき、手袋の上からキスまでするもんだから…私は顔を引きつらせるしかなかったし、はっきり言って合わないなと思った。


武蔵さんの話はそのくらいにして、そのあと彼は、バルコニーに出て汗を拭い、後から来た執事さんと合流し帰っていったの。


帰るときに私と目が合い、笑顔で会釈までしてくれた。


ぶっちゃけ、私と関わってきた人でそこまでする人は珍しくない。


ただ、13歳という若さでそこまでしてくれた人っていなかった。


家でどんな教育されてるんだろう?なんであそこまで大人っぽいんだろう?などと考えてしまう。


回りくどく言ってるけど、つまりは…


「聖夜様?誕生祭が終わってからというもの、何をするにも上の空ですよ?どうかなさいましたか?」


と花に言われるほど、私は彼のことが気になって仕方がないの!
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