お嬢様 × 御曹司
【カウントダウンパーティー・舞踏会】


大きな看板に描かれた文字を見て苦笑してしまう。


名前がありのままね、センスの欠片もない。


誰がこんなの考えるのかしら?


…ああ、お父様か。


「聖夜様、仕事モードに切り替えてください。あと少しの辛抱ですから。」


私につきっきりな花もかなり辛いはずなのに私を気にかけてくれる。


さっきはあんな暴言言っちゃったけど、私がしっかりしなくちゃ!


だって、日野原財閥を背負う身ですもの。


私は、花のいうとおり仕事モードに切り替えた。


「えぇ。参りましょう。」


黄色いパステルカラーの清楚なスカートに真っ白なブラウスを着た私。


まだ13歳だし、舞踏会といっても踊れるようになるにはまだまだ練習が足りないし、今は何があるかわからないから。


そうそう。


ドレスをパーティの最中ずっと着てた誕生祭の時は、特別だったってことね。


もちろんカウントダウン挨拶の時はドレスに着替えるけど、その時だけだし。


会場に入るなり、一瞬会場の動きが止まったように感じた。


その視線がすべて私に集まる。


いつもそうだ。


私は特別でもなんでもない、特別なのは日野原財閥。


それでも、私はそういう扱いを受けるんだ。


「ごきげんよう、聖夜様。またお会いしましたな。」
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