お嬢様 × 御曹司
脱走の企て -協力-
「それで、さっきの続きたけど…」と、たけくんが例え話を再開させたのは、私が大好きなチーズケーキを食べ始めたあたりだった。


「いつもは、人間に守られてるから、美味しい餌にはたどり着けない。でも、間抜け人間ももちろんいるだろう?その時を狙えば、鳥は美味しい餌にありつけるってこと。」


ええっと、確か餌が私で、鳥が日野原財閥に恨みを持ってる人、人間が執事(この場合陸)だから…


「陸がいない今日、私は狙われやすいってこと?」


そう言いつつ、私はチーズケーキを食べる。


甘いのに甘すぎず、クリームを使わない分しつこくなく…いつものことながらここのチーズケーキは最高だった。


「そういうこと。だから気をつけたほうがいいよ。俺が思うに、陸さんは君がパーティーに来るときは必ずついてきてたはずだから。」


そう言いながら、彼は紅茶を一口飲んだ。


「ケーキはいらないの?」と聞いたところ、「甘いのはあんまり…。」だそう。


もったいない、おいしいのに。


「そういえば、今までずっとパーティーに来るときは必ずついてきてたな。今日が初めてかも。」


それに、確かに安全ではあるけど自由になれる時間はなくて…。


この年末は忙しすぎて忙しすぎて…。


羽を休める時間が欲しいな。


「気をつけるに越したことはないからね。」


淡々と述べて、たけくんは飲み終わった紅茶のカップを丁寧に執事さんに渡した。


私も、食べ終わったチーズケーキのお皿を机に置く。
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