お嬢様 × 御曹司
「近場こんなに綺麗なところがあったとは…よく知ってたね、聖夜。」


「うん。雑誌に載ってた。」


暇な時やることは、それくらいしかないしね。


私たちは、東屋のベンチに腰掛けた。


冬とは思えないほど太陽が出ているけど、やっぱり冬らしい寒さだ。


今日で、今年が終わる。


「そういえば、聖夜のスマホ、かわいいな。」


-ドキッ


スマホを可愛いと言われただけで胸が高鳴っちゃうとか、私どうかしてる…。


私は平常心を保って、スマホを取り出した。


「可愛いってピンクだから?」


スマホケースが蛍光色のピンク色だから、女の子らしいというのはわかる。


「それもあるけど、なんか、聖夜みたいだから。」


ふわりと優しく笑うたけくん。


そういえば脱走してからほとんど笑ってなかった。


たけくん、無理してるのかな?


「たけくんのスマホはかっこよかったね!黒でスマート。」


「そう?」


そう言ってたけくんもスマホを取り出す。


いたってシンプルだけど、それがたけくんらしくてしっくりくる。


「いいね、なんか。」


「聖夜も俺もストラップとかつけないタイプなんだな。」


あ、同じところに気がつくんだ。


私もたけくんもスマホをケースに入れてるけど、ストラップとかはしてない。


シンプルイズベストってことかな?


「似てるね、私たち。」


「そうだね。」


静まり返った公園に、私たちの声だけが響く。


ずっと、ずっと、二人の時間が続けいいな。
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