「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「どうしたの?玲ちゃん!」
さすが親友。平然を保っていたつもりがあっさりとバレてしまった。
「何でもない。行こ晴。」
私は頭を早く冷ましたくて早足で歩きはじめた。
歩きはじめてからも唯都の事が気になって仕方がなかった。
本当に春稀は唯都何だろうか。
もしかしたらたまたま本を見つけて、たまたま何書かなきゃいけないことがあったかもしれない。
私はどうしても信じたくなくていろんな自己暗示をかけた。
でもそれは私が春稀が唯都だと思っている証拠になる。
いや、私はもしかしてもっと前から自覚はしていなかったが、春稀が唯都であることがわかっていたんだと思う。
それを今まで後ろめてきた。
そしていざとなると逃げてしまった。