「君へ」 ~一冊から始まる物語~


「私は春稀に恋をした訳じゃない。唯都に似ているから春稀を好きになったんだって気がついた。」

「玲ちゃんそれって...」


「そう。私ずっと前から唯都のことが大好きだったの。
それこそ唯都がいないと生きていけないぐらいに。」


私は隠してはおけない自分の唯都への気持ちを晴にぶつけた。

「兄妹なのに、妹にしか見られていないことも知っているのに。ダメだってわかっているのに。気持ちが止まらないの。」

そう言うと晴は以前お兄ちゃんの話をした時のように寝転びながら私を抱きしめた。


「いいんだよ。玲ちゃん。
それが恋って言うものなんだよ。唯都君が好きでいいじゃん。
兄妹でも、血は繋がっていないんだから。
気持ちを隠してる方が辛いでしょ。」


晴は晴の胸で泣いている私の頭を撫でながら言った。


そんな晴の優しさに私は涙か止まらなくなり、晴の胸で静かに泣いた。


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