「君へ」 ~一冊から始まる物語~


そして2人で晴のベッドに並んだとき、私は今日1番話したかったことを切り出した。


「ねぇ晴。晴は恋した事ある?」

「急にどうしたの玲ちゃん。」

「今から私が言うこと信じてね。私が晴と出会う少し前にね、旧図書室で不思議な本を見つけたんだ。」


話し始めると、晴は真剣に聞いてくれた。


「題名も、何にも書いていない表紙で最初は1ページしか読めなかった。
しかもねその本には手紙が挟まってて、春稀って人から文通相手に鳴ってくれませんかって頼まれたの。
あの本はその人の実話を書いたものなんだって。
それでね、もし文通相手になってくれたら1回1ページ読ましてくれるって。私はその話に乗ったの。
最初の2ページに心を奪われたから。
そしてね春稀って人が段々わかってきたの。
でも知れば知るほど私の春稀に対する気持ちが溢れてきたの。
本名も顔も何も知らない、ただの文通相手に生まれて初めて恋をしたの。その人は私のことをすごく助けてくれた。
それにその人がいなかったらきっと私と晴は友達になれなかったと思う。
でね、今日忘れ物を旧図書室に取りに行ったとき見ちゃったの。唯都がその本を手に取って、手紙を書いているところを。」


私はその時のことを思い出して、つい涙が溢れてきた。


「どこかで気づいてた!春稀が唯都かもしれないって!本の内容も段々私の過去に似てくるし、優しく見守る感じとか、今考えるとどれもが唯都が春稀である事をものがたっていたの!」


私は晴に叫んでいた。

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