「君へ」 ~一冊から始まる物語~


そんな生活をしてきて早4年。

高校は引っ越し先のさらに隣町の高校に進学して、新しい生活を始めるつもりだったが、たまたま都兄や生きていたら兄と同級生だった人の中に昔の中学校の先輩がいた。

しかもその先輩が私の顔を覚えていたため、1ヶ月も経たないうちにあっという間に全校に私の過去が広まってしまった。

幸いだったのが、唯都や都兄と幼なじみだったという事をバラされなかったことだ。

これがバレていたら2人ともただじゃすまなかった。

都兄は私に謝ってきてくれたが、


「気にしないで。」


と言った。

唯都も都兄も今の関係を言おうとしたけど


「それだけはやめて!」


と私が言ったのでそれ以上何も言わなかった。

それに噂が広まるにしろ広まらないにしろ私は自分の過去から逃げる事は出来ないと思っている。

こうして今、私たち家族しか知らないのは、苗字が変わった理由と、全ての真実のみとなってしまった。




私がいじめられることはいい。

でも唯都と都兄は、巻き込みたくない。

というのが私の気持ちだ。

でも2人とも


「「巻き込め。」」


と言ってくれる。

そんな優しい2人が私は大好きだ。



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