「君へ」 ~一冊から始まる物語~


「わかったよ。」


唯都も私がこれ以上折れないことを勘づいたようで、私の意見に同意してくれた。

そして鞄から携帯を出し、都兄に連絡した。

私は都兄にメールを打っている唯都の横顔を見つめた。


『よく見たら意外と顔整ってるんだな。』



「そんなに見つめられるとやりづらいんだけど。」

「あ、ご、ごめん。」

「別にいいけど。」


唯都に止められて気づいた。


『私、今何考えてた?これじゃまるで他の女子と一緒じゃない!
えっ?私は唯都の事が...』



「んなわけあるかーーー!!!」


「うわっ!?」


私は久しぶりに大声を出した。


「び、びっくりしたー。玲波の大声初めて聞いたかも。」


そうかもしれない。私自身、自分の大声を聞くのは2度目だから。

< 33 / 254 >

この作品をシェア

pagetop