「君へ」 ~一冊から始まる物語~



「「「ただいま。」」」


私たちは家に着くと、それぞれの家事をやり出した。

現在お父さんは海外に単身赴任でお母さんも付き添っていったので家事は三人で分担している。

ちなみに、私がご飯、唯都は掃除、都兄が洗濯担当だ。

私は今日スーパーに行くことができなかったため、冷蔵庫にあるもので簡単なものを作った。

テーブルにそれを並べていると、ちょうど洗濯物を取りこんできた都兄と、お風呂掃除を終えてきた唯都が来た。



「今日はオムライスか。」

「ごめんね。こんな簡単のもので。」

「全然いいよ。作ってくれるだけで嬉しいから。
それに俺、オムライス好きだし。」


都兄がオムライス好きとは初耳だった。


「じゃあこれからもたくさん作るよ。」

「楽しみにしてるね。」


5年間兄妹として暮らしているが、結構唯都や都兄の事ではじめて聞くことが意外と多い。

この前も初めて唯都の苦手なものを知った。

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